私がケンブリッジに合格してオックスフォードに落ちた理由

あまり知られていませんが、イギリスでは出願した大学に自分がどのように評価されたのかを合否関係なく問い合わせることができます。今回は私が出願したオックスフォード、ケンブリッジLSEの3校に問い合わせた結果をまとめてみようと思います。ちなみに、XPLANEにて合格体験記も寄稿しているので、こちらもご参照ください。

 

目次

 

  1. 受験結果

2021年

Oxford: MSt Women's, Gender and Sexuality Studies→不合格

(同時に受験したMBAには合格し、そちらに進学)

 

2022年

LSE: MSc Gender→11月に出願し、12月にWaitlist。その後4月に合格

Cambridge: MPhil in Multidisciplinary Gender Studies→11月に出願し、2月に合格

Oxford: MSt Women's, Gender and Sexuality Studies→11月に出願し、2月に不合格

 

  1. LSEの開示内容

LSEからはExcelファイルでの開示でした。横長でかなり見づらいファイルなのですが、どうやら12月に2人の教授からReviewされて1人はOffer、もう1人はWaitlistという判断を下したため、その時点ではWaitlistになったようです。その後、3月にもう一度違う2人の教授からReviewされ、2人ともOfferという判断を下して正式にOfferが出た、という流れのようです。

それ以外にはほとんど何の情報も載っておらず、コメントは教授1からの"Interesting profile"と教授4からの"Well suited"という合計4 wordsのみでした。開示エクセルには成績やSOPなどを項目ごとに評価しているように見える欄もありましたが、それぞれ何点だったのかは開示していないようです。

LSEからの開示Excelスクリーンショット

 

  1. Cambridgeの開示内容

Cambridgeからの開示はメールにベタ打ちのコメントだけでした。以下、個人情報特定できそうな部分だけ伏せてそのままの文を貼り付けます。

Reviewer 1:

Conditional Offer

This is a very unusual but intriguing application. He sounds XXXX XXX XX XXXXX XXXX. He has strong references as best in his year and top 5%, and a well thought through proposal.    

       

Reviewer 2:                                 

Accept                                 

XXX's proposal is interesting. I am confident he will gain the tools he seeks, at the Centre for Gender Studies, to complete his research. He and his recommenders bring attention to the candidate's eagerness to learn theories of gender and sexuality.

 

きちんとリサーチの方針を示し、参考になりそうな文献リストまで添付したResearch proposalの評価がよかったようです。参考までに実際に提出したResearch proposalの参考文献リストはこんな感じです。

参考文献リスト

また、推薦状でも高く評価していただいたとのことで書いてくださった東大時代の教授2人にも感謝しきれません。

また、同メール内に私のスコアは19/30だったとの記載もありました。これが高いのか低いのかはわかりませんが、やはりSOP、Writing sample、推薦状、学部時代の成績などを点数化して評価しているということでしょう。

 

  1. Oxfordの開示内容

私のことを二度も不合格にした憎きOxfordですが(笑)、開示内容は一番しっかりしていました。どうやらOxfordでは以下の項目を点数化して、40点満点で評価しているようでした。

  • 学部時代の成績(10点満点)
  • Statement of purpose(10点満点)
  • Writing sample(10点満点)
  • 推薦状(4点満点)
  • バックグラウンドがコースに沿っているかの評価(6点満点)

ちなみに私は上から順番に8、8、7、4、5で合計32点という結果で、最後のコメント欄には"Good application but insufficient against broader pool of applicants"とあったので、恐らく35点前後がボーダーだったのだと思います。また、25点に達さないApplicationには基本的にOfferは出さないとの説明書きもありました。

Oxfordからの開示資料のスクリーンショット

実は私の応募したMSt Women's, Gender, and Sexuality Studiesは何故か比較的競争の激しいコースで、少し古いデータですがこちらのサイトによるとAcceptance rateは18%程度です。定員はずっと15名程度ですが、応募者数はどんどん増えているようなので、現在は恐らく15%以下なのではないかと思います。同じOxfordの修士課程でも、例えばMSc Social Anthropologyは30-50%前後なので、それほど競争の激しくないコースでは30点以下で合格する可能性もあるのではないでしょうか。もし何かデータ持っていらっしゃる方がいればぜひTwitter(X)でご連絡ください。

概ね評価には納得しているのですが、学部時代の成績の評価には少し疑問が残りました。東大でほぼすべての授業で優か優上を取って、(計算方法にもよりますが)GPAは4.0なのにも関わらず8: Borderline / Low First Class or equivalentということは東大を首席で卒業くらいしないとこの項目で10点は取れないということなのでしょう。

私が落ちた大きな理由としては成績評価以外でいうとやはりWriting sampleでそれほどいいものを提出できなかった(評価は10点中7点)というところなのではないかと思います。学部時代に書いた評価の高かった期末レポート(日本語)を英語に訳し、ネイティブにもチェックしてもらったのですが、自分で訳しながら「もっと改善できるなー」と思いつつ時間が足りず仕方なくそのまま提出しました。まだ学部生なのであれば、卒業までに最初から英語で自分の納得できる質のレポート・論文を書いておくことをおすすめします。

 

  1. 推薦状について

CambridgeでもOxfordでも評価の高かった推薦状については再現性が非常に高いと思うのでここでどう準備したのかを簡単に紹介しようと思います。具体的には、推薦状をお願いした先生方には以下の情報をメールでお伝えして、できるだけ定量的な内容を盛り込んでいただくようにお願いしました。

  • 取っていた授業の成績(特にできればクラスの中で上位~%の成績だった、と書いていただくようにお願いしました)
  • 提出した中間・期末レポートのコピーと概要(私がどんな内容を書いたのか恐らく覚えていらっしゃらないので、念のため添付しました)
  • 卒業論文のコピー、概要と成績(↑と同様の理由です)
  • 現時点での修論の仮説的方向性
  • その他のアピールポイント(私の場合、学部生ながら院生のゼミに参加していたこと、日英韓の3ヶ国語の文献を引用して卒論を書いたこと、学部在籍中に米国と韓国に二度交換留学をしたことなどをお伝えしました)

 

  1. 最後に

私は何も知らずにイギリス大学院受験に挑戦しましたが、事前にどの項目がどの程度評価されるのかということが分かっていればもっと戦略的に時間配分をすることができたと思います。

まだ学部2-3年生なのであれば、GPAを上げる、進学したい分野の教授の授業を取って積極的に発言していい成績を取っておく、質の高いレポート・論文を(できれば英語で)書いておきWriting sampleに使えるようにしておく、などの準備をすれば英国の大学院受験はかなりスムーズに進むのではないでしょうか。また、こういった準備を学部生のうちにしておけば、卒業後に一旦就職して数年働きお金を貯めてからでも十分に英国大学院から合格をもらうことは可能だと思います。

一旦社会人を経て受験する場合で、それほど学部時代の成績が良くない場合でも、少なくともOxfordの場合はバックグラウンドの評価があるので仕事と関係する分野への出願で、それほど競争の激しくないコースであれば十分にチャンスがあるのではないでしょうか。

 

皆さんのお役に立てれば幸いです!